****「身毒丸」物語***


まなざしの
おちゆくかなた
ひらひらと
蝶になりゆく
母のまぼろし
一。
死んだ母親の面影を求めて街を彷徨う
身毒丸
しかし、身毒丸の父親は、彼を連れて母を売る店に行き、
かつて旅芸人をしていた
撫子(なでしこ)
という女を買い求める。
その撫子を息を詰めて見つめる身毒丸。
身毒丸と撫子、その、運命の出会い。
二。
家に入った撫子と、その連れ子のせんさく。
家という容れ物の中で成立する
「家族」
そこでお互いがいい
、いい
いい
、いい子供を演じている。
しかしその役割に抵抗を感じ、
亡き母の遺影を抱きしめる身毒丸。

身毒丸は撫子を母親と認めようとせず、
年取った夫も彼女に按摩だけさせてさっさと寝てしまう。
自分は結局、母親の置物として
家に買われてきただけなのだ、と嘆く撫子。
そんな時、義理の息子、身毒丸の若い裸体が目に入る。
三。
家族あわせのゲームの中で、自分だけ
除け者にされたように思い、
母札を抱えてこっそり抜け出す身毒丸。
一方、いなくなった身毒丸を探して街を彷徨う撫子。

身毒丸を探し出し、親しげに話し掛ける撫子に
髪切虫を差し出し、お前の髪を食べさせる
挑発する身毒丸。
身毒丸は撫子が現れて以来、
心の平安が無くなってしまった。
身毒丸はその気持ちのはけ口を撫子へとぶつけ、
彼女をどんどん追い詰めて行く
たまらなくなった撫子は、
身毒丸の尻をぶつ

継母の元から逃げ出した身毒丸は、
不思議な
仮面売りに出会う。
仮面売りは持ち歩ける穴を取り出し、
その穴があればどこへでも好きなところに行けると教える。
身毒丸はその穴を借りて、
死んだ母に会うべく、
地下の世界へ入って行く。

地下の世界をさまよう身毒丸を、
子供をなくし嘆き悲しむたくさんの
母親が取り巻いていく。
気付くと、
うしろの正面には継母の撫子が立っている。
けたたましく笑う撫子。
一瞬にしてその場が
地獄と化し、
身毒丸は髪切虫を呼ぶ。巨大な髪切虫が現れて、
悪夢は消える。
秋風やひとさしゆびは
誰の墓
ひとさしゆびに
経文書いて
遠い異国に
とばしたや
四。
それから
二年
相変わらず身毒丸は撫子を拒絶したままである。
ある日、撫子は、身毒丸の心から
死んだ母親の面影を消してしまいたいという思いで、
写真をごしごしと磨く
それを見た身毒丸が写真を取り返すと、、
写真の
母の顔が消えている
身毒丸は激怒し、撫子の顔を平手打ちする。

父親が身毒丸を、継母にとった行為の事で
叱っている。そして、撫子を母親として受け入れる事を命令するが、
身毒丸はそれを
拒絶してを飛び出す。
現実では相反する二人。だが、
実は男と女として惹かれあっている。
しかし
家という制約の中では、
母と子という役割が二人を縛りつけている。
イメージの中で二人はゆっくりと近づき、しっかりと抱き合う。
五。
身毒丸から、
母親として拒絶され、としても受け入れられない撫子。
しかし彼に見つめられると心がかき乱され、いてもたってもいられない。
この
地獄を終わらせるため、
撫子は身毒丸の目が見えなくなるよう
呪いをかけることを決意する。
そこへ身毒丸が
死んだ母親を探して現れる。
暗闇の中、身毒丸は撫子を生みの母と間違えて抱きしめる。
撫子、思いの遂げられない身毒丸を暗闇の中で抱きしめる。
撫子に気付く身毒丸
撫子は意を決し見毒丸に呪いをかける。

身毒丸は十八歳、
十八本の釘を打つ。
月の七日が縁日で
七日七本
釘を打つ。
呪いにのたうち、苦しみ、盲目になる身毒丸。
ゆっくりとその場から消えて行く。

六。
身毒丸が消えてから
一年後
家族は静かな生活を送っているが、撫子には、
自分を閉じ込めている
家を壊したいという狂気が忍び込んでいる。
一方、
地の果てを彷徨っていた身毒丸が帰ってくる。
彼は
義理の弟を探し出し、殺す

その時、かつて撫子がいた
見世物小屋の世界が生々しく蘇る。

「家」が崩壊する。
家が崩壊して、
二人はやっと
男と女として向き合った。

身毒丸
「お母さん!もういちど、ぼくをにんしんしてください」
撫子
「もういちど、もうにど、もうさんど、
おまえをうみたい。おまえをにんしんしてやりたい」

家をなくし、顔をなくし、名前をなくし、
忘れられる為に出て行く二人。
街の雑踏の中、
巡礼の鈴の音をひびかせながら、
消えていく。


  


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